中小企業がマーケティングに失敗する10の理由(その1)

コンサルタントや広告会社に踊らされる中小企業

まずはマーケティングに失敗する10の理由について。
これら理由に共通するのは、マーケティングについての間違った理解です。

1.セールスとマーケティングを混同している
2.成功している企業と同じことをしようとする
3.短期間での結果成果(成功)を求める
4.なぜ自社から買うのかがわかってない(売れている理由が説明できない)
5.売れている理由が共有されない(全社の取り組みになっていない)
6.仕事につながらない(仕組みになっていない)
7.思い込み
8.潜在ニーズに目を向けない
9.他社とのコラボレーションが苦手(視野が狭い=問題解決のためのアイデアの幅が狭い)
10.ITに弱い

中小企業で「マーケティングに取り組んでいる」というところはたくさんあります。
また、ネット上には「SNSを使って問い合わせを2倍に」といった謳い文句が踊り、同様の営業をかけてくる広告会社やコンサルタントがいます。
それらは決して安くはありませんが「これで儲かるなら」「これがマーケティングだ」と考えて取り組んでいる中小企業は少なくありません。
一方で、そういったマーケティング手法が成果を出している、もしくはある決まったマーケティング手法によって業績を上げた会社、というのは聞いたことがありません。
なぜ、中小企業のマーケティングは上手くいかないのでしょうか?

それは中小企業の多くがマーケティングを自社の商品・サービスを広く知らしめ「売れるようにする方法」だと考えているからです。
もし本当に、たくさん売れるようになる方法があればどの会社も利用するでしょうし、日本の景気が悪くなることなどありません。
だからこそ、広告会社やコンサルタントから勧められて取り組んでも思うような結果が得られないのです。
その上、上手くいかないことに対して勧めた広告会社やコンサルタントにを伝えても、「それは貴社の商品・サービスに競争力が無いから」などといった答えが返ってくる、という惨めなことが頻繁に起こっています。

「売る」ことを目的にするから失敗する

この「上手くいかない」マーケティングの根本原因は何なのでしょうか?
それは、マーケティングの目的を「売る」ことだと解釈してしまっていることにあります。
中小企業経営者の方からは、よくこんな事を言われます。
「商売、経営の基本は「売る」ことなんだからマーケティングの目的も「売る」ことだろう、マーケティングは「売れる仕組み」を作ることだろう」と。
マーケティングは確かに「売れる仕組みづくり」なんですが、中小企業の多くが取り組むマーケティングはそうではありません。
いろいろなところから聞いた、あるいは仕入れてきた「売る仕組み」を取り入れて、自社商品・サービスを「売る」ために取り組んでいるだけのところがほとんどなのです。

では、広告会社やコンサルタントがいい加減な仕事をしているのか、というと当然そんなことはありません。
それぞれの「売る仕組み」を取り入れて、販売や営業に力を入れることは決して間違いではありませんし、広告会社やコンサルタントが勧めるそれらの方法が間違っているわけでもありません。
しかし、「売る仕組み」を取り入れれば商品・サービスが売れるわけでもありません。
なぜなら、商品・サービスが売れるには、顧客が「欲しい」と考え「買おう」とする、その一連の行動の理由、つまり「買ってくれる理由」があって売れるので、その理由を把握しないで一方的に売ろうとしても上手くいかないからです。
仮に商品・サービスが売れたとしても、やはり「なぜ買ってくれたのか(売れたのか)」がわかっていなければそれを再現できませんから、売り続けることができないのです。

また、「買ってくれる(売れる)理由」がわかっていないと、売れている間は良いですが、売れなくなった時に「売れなくなった理由」もわかりませんから対処できないという事態に陥ります。
最近もコロナ禍において急激に需要が伸びた商品・サービスがあり「コロナバブル」などと呼ばれた市場がありましたが、コロナが終息した途端に急速に冷え込み危機的な状況に陥ったところもありました。
大事なのはこういった需要の変化、価値観の変化といった顧客の変化に「気づく」ことであり、気づくことができれば対処できます。
そのためには常に顧客のことを知ることが必要で、実はマーケティングの目的こそ「顧客のことを知ること」なのです。